廿三 花 年足るゝ洞の栖(すみか)や花の蔭 易
廿四 春 春の祭りに太鼓叩く児 左
徽宗皇帝描きし山鳩は、まろやかで厳かな気品におわしますゆえ、近くで太鼓なんぞを叩いて驚かしては芸がございません。ここは、隣村の春祭りくらいの距離感で、子供らが、祭りの主役を演じて懸命に無心でふるさと共同体を盛り上げようとして叩く太鼓ということにしておきます。この程度の音量であれば、高貴な山鳩も「くーっ!」と遠鳴りの祭り囃子に和して鳴いてもくれるでしょう。
いかがでしょうか?
影左 拝
発句 春 白き峰越え来る里は初霞 花見川濤青
脇句 春 迎えに添える丹精の梅 小倉庵不易
相伴 春 蕎麦湯にも打ち手の気合い春の雪 浦霞影左
四 秋 「鍋始めました」で、街の秋 青
五 秋 此処彼処さだめなき世の落葉かな 易
六 月 月明るくて居酒屋はしご 左
七 雑 松前へ明日いちばんの北航路 易
八 雑 祝儀盛り上ぐ伊万里の大皿 青
九 春 角隠し春風なみだ小津映画 左
十 春 遅日が繰らすセピアのアルバム 易
十一 花 声が降る花散る丘の始業式 青
十二 雑 モンスターママ教室に来る 左
十三 夏 上々の首尾にも遺恨麦の秋 易
十四 雑 サリンジャー逝きひとり飲む 青
十五 雑 横綱の重みを偲ぶ栃若時代 左
十六 秋 物を思はむそれぞれの秋 易
十七 月 名月や尖る心の溶けぬ夜 青
十八 秋 寝覚の床に蓼の花摘む 左
十九 雑 マイファニーバレンタインさあいつはね 青
廿 雑 二合斗りの米を炊く男(ひと) 易
廿一 夏 細身なり女性大食いこいのぼり 左
廿二 春 おぼろ月夜に鳴く鳥は何処 青
廿三 花 年足るゝ洞の栖(すみか)や花の蔭 易